電通、パソナ、統一教会依存で起きる悲劇
代々自民党政権を選挙で支えてきたのが統一協会だとすれば、財政的に支えてきたのが大規模な公的事業の中抜きである。近々では持続化給付金をめぐる汚職や詐欺事件が明るみになっているが、そもそもこの種のコロナ禍救済制度の仕組みに当初から大きな問題があり、国家財政を食い物にした政・官・民の中抜き構造が横たわっていた。経済産業省が業務委託した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」なる団体が、広告最大手の電通にほぼ丸投げで業務を再委託し、さらに子会社や人材派遣大手のパソナなどにねずみ算式に再委託をくり返していたことは紛れもない事実である。
昨年開催された東京五輪に群がったハゲタカ企業や今回捜査の対象となっている高橋元理事も同じ構造で、巨額の給付金事業やオリンピック事業にピンハネ企業が群がり、苦しんでいる中小事業者や国民には遅々として給付金が行き届かなかったという悲劇は記憶に新しい。
持続化給付金事業の流れを調べると、元請けの「サ協」は委託料から20億円を差し引いた748億円で業務の97%を電通に再委託し、電通はそこから「管理・運営費」など103億円を差し引いた645億円で子会社の電通ライブ、電通国際情報サービス、電通デジタルなどに再々委託。電通ライブは審査やコールセンターなどの業務を人材派遣パソナ(取締役会長・竹中平蔵)に171億円、大日本印刷に103億円、トランスコスモスに30億円など合計417億円で外注した。さらに子会社へと再委託は続き、巨額の税金が政権側に癒着する私企業に食い物にされていたという国民にとっての悲喜劇だ。最終的にはほとんど経理経験のない派遣社員らが審査などを担当させられたため、給付業務が滞ってしまっていたというオチもつく。
一斉休校要請にともなう保護者への休業助成金給付事業、中小企業庁の事業再構築補助金などコロナ禍で窮乏する人々を出し抜くような公金つかみ取り事業もパソナのBPOサービス事業の成長を促していた。
東京五輪では、パソナは組織委と「オフィシャルサポーター」契約を結び、五輪運営関連の人材派遣サービスを独占。国会でも提示された人件費の「内訳書」によれば、大会運営ディレクターなどの日当が一人当り35万円という高額契約になっていながら、パソナ側が提示した日当は1万2000円であり、中抜き率97%というホントにえげつない手法がまかり通った。
新型コロナワクチン「大規模接種センター」の予約システムでも、重大な欠陥が発見されたシステムの委託運営会社「マーソ株式会社」の経営顧問もナント竹中平蔵だった。さらにパソナの業績を押し上げたのが、コロナ禍における再就職支援事業であった。コロナで事業者が潰れたり正社員、パート・アルバイトなどの非正規労働者が雇い止めや解雇を受けて路頭に放り出されたが、手厚い公的支援は打たれなかった。そのかわりにパソナが失業者にとって最後の「駆け込み寺」になる流れがつくられ、苦境に陥った人が増えれば増えるほどもうかるというビジネスモデルが成立していた。
岸田政権は「コロナ禍で職を失った非正規労働者の支援策が必要」として国が3年間で総額4000億円を投じ派遣会社による非正規労働者の研修事業を支え、新たな派遣先企業で試験的に働かせたうえで就職を促すというもので、これも労働者支援ではなくパソナ支援策であり、デジタル化などの産業構造の転換で新たな「雇用の調整弁」を求める大企業への支援策となってしまった。
さて政治は一部のための奉仕者ではなく全体の奉仕者でなければならない。公に寄生しながら公を切り崩し、私腹を肥やしてはばからない一握りの連中らからこの国を支える人々の手に政治を奪還し、万人のための民主的統治を実現していかなければならない。にもかかわらず、最近明るみになった政権与党と統一協会との異常なもたれあいは目を覆いたくなるものばかりである。
2012年の安倍政権下以後の文科相は、下村氏、馳浩氏、松野博一氏、林芳正氏、柴山昌彦氏、萩生田光一氏、末松信介氏の7人となるが、安倍元総理は選挙のコツを心得ており、宗教法人を動かすためには文科相ポストを維持することが重要だと知っていたので、安倍政権以後の菅・岸田政権でも文科相ポストは清和会で牛耳った。宗教法人が学校を作りたければ陳情し、法人格の維持も必要。その対価として“選挙マシーン”として宗教団体を活用したのだった。国政選挙では、カネもさることながら、無料で働いてくれるマンパワーこそ必要で、「電話かけ」「ポスター貼り」「戸別訪問」、この3つは一般の運動員から敬遠されがちで、ボランティアでは心が折れてしまうことは想像に難くない。
信者は布教活動で戸別訪問や電話かけなどを日常的に行っている。布教活動と政治活動は通じるものがあり、信者は極めて優秀な“選挙用運動員”となる。安倍元総理は国政選挙6連勝を果たしているが、この連勝の裏には彼らの下支えがあったことは大きい。公職選挙法にも抵触しかねないこんな政治活動を積み重ねて議員に成りあがった連中に国家国民の行末などを語って欲しくはない。
いずれにせよ、こうした流れで国民の稼いだ税金は、いかがわしい利権企業や海外のカルト宗教、政治家のバックマージンなどに流れ散っていったのである。国民の生活や伝統を尊重する本当の愛国主義者、国粋主義者ならこんな売国奴的悪事に手を染めないはずであるが、、残念至極である。