ウクライナは米ソの代理戦争か?

思想家のジャック・アタリは、すでに6年前にロシアによるウクライナ侵攻を予言していたという。

彼はフランスの歴代の大統領の顧問を務めた。1989年にベルリンの壁が崩れ、その後、旧ソ連が崩壊した後は、欧州の復興を提唱して、91年欧州復興開発銀行の初代総裁にもなった。その時「米国は、ロシアを民主主義陣営に入れることに消極的だった。欧州復興開発銀行は、民主主義に向かっていない国には融資をしない、という国際機関としては初めての条件を入れた。これについて、当時のロシアも同意していた」「クレムリンが欧州に入りたいと思えば可能だった。ロシアが、法の支配、腐敗政治からの脱却、完全な民主主義への意欲をみせていたら、欧州はロシアを歓迎した」 欧州復興開発銀行の融資によって、旧東欧諸国のハンガリー、ポーランド、チェコ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、そしてバルト3国では、民主主義かと経済改革がある程度成功を収めた。何故ロシアが民主化できなかったのか? ジャック・アタリは「それは、ロシアが巨大な国だったからだ。支配層の素行が悪く、西側諸国が介入しづらかった」「また、米国は常に敵を必要としていた。『軍産複合体』は議会から軍事費をとるには敵が必要だった」という。今回のウクライナでの悲劇も米ソが望む代理戦争という位置づけだ。

「軍産複合体」とは、米国のアイゼンハワー大統領が退任にあたっての演説の中で軍隊と産業がいっしょになって、戦争の危機による利害を共有する体制のことに触れて警告を放ったものである。ジャック・アタリは、「軍産複合体」の危険性に驚くべき警鐘を鳴らす。米国の『軍産複合体』とクレムリンの過激派のなかには、利害関係が一致する人たちがいるというのだ。