利権で国民を売り渡す政権与党

マイナンバーカード事業はトラブル続出だ。しかし中止には至らない。デメリットだらけの当事業を尻目に巨額利権に群がり甘い蜜を吸う連中がいるからだ。制度設計を担った「情報連携基盤技術ワーキンググループ(WG)」のメンバー21人のうち、13人は民間企業の管理職が務めていたこともあり、同じWGに参加した富士通、NTT、セコム、日本IBMを含めると多くは競争を経ない随意契約で当事業を入札した。制度設計段階から関わったホンの一握りの大企業が、マイナンバー事業を独占し、その見返りだろうか、受注先には幹部官僚26人が天下りしている。加えて日立、NTTデータ、NECは関連企業を巻き込み、実は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に21年までの3年間で計2億5750万円を献金していた。

同じ構造は、敵基地攻撃能力の保有など、岸田政権が軍拡路線を突き進んでいる構造と酷似している。2023年度予算案で軍事費が10兆円を超すなか、護衛艦や潜水艦などを防衛省に納入している軍需産業上位の企業が2021年に自民党の政治資金団体「国民政治協会」に1億6000万円を超す献金をしていた。国の今後の安全保障を外交力より過大な軍事力に頼ろうとする政策転換が上記のような特定政党に対する献金力を背景に進められてしまっている現状は甚だ問題である。

契約金額
(億円)
献金額
(万円)
①三菱重工業 4591 3300
②川崎重工業 2071 300
③三菱電機 966 2000
④日本電気 900 1500
⑤富士通 757 1500
⑦IHI 575 1000
⑧SUBARU 417 1700
⑨日立製作所 342 4000
⑪小松製作所 183 800
⑫ダイキン工業 181 520
〈注〉防衛装備庁資料、政治資金収支報告書(2021年分)で作成。丸数字は契約実績順位

上記は防衛省の外局である防衛装備庁が発表している「中央調達の概況」(令和4年版)で公表している 2021年度の「契約高順位(上位20社)」に名前を連ねている企業の献金額を「政治資金収支報告書」(21年分)で調べたもの