ロシアより許せない?

今日の憲法集会で立憲の奥野衆議院議員は「ロシアよりも許せないのが今の与党だ」と発言した。例えが悪すぎだ。これでは侵略国家ロシアが自民・公明両党よりは悪くない、まだマシということになってしまう。比較したところで同系列ではないので比喩には当たらないし、炎上狙いにしては逆に突っ込まれてしまう。同日夜放送のBSフジに出演した同氏は案の定言い過ぎを謝罪し、発言を取り消していた。

しかし彼がもし「ロシアと同様の動きをしているから今の与党は許せない」と発言していれば、謝罪に追い込まれずに済んだどころかおそらく彼に対する評価は変わっていたのではないか。

実はロシアは大統領権限を強めるべく2020年に憲法改正を断行していた。国際関係におけるロシアの主権を擁護しようとするものが目立ち、日本でも報道された「領土割譲の禁止」に関する条項に加え、在外同胞の権利保護、憲法と矛盾する国際機関の決定の不履行、内政不干渉などが新たに規定された。また歴史的団結、神への信仰、祖国の防衛者の追悼、歴史的真実の保護、子どもの愛国心、公民意識、年長者への敬意の育成などといった愛国主義的、保守的な価値観を強調する文言も新たに憲法に書き加えられた。さらには、同性婚を禁じ、政府の職務に「家族の支援、強化および保護、家族の伝統的価値観の保全」を追加した。

このように愛国主義的、保守的な改正が多いことも2020年憲法改正の大きな特徴であり、文言こそ違うが、日本を独立した主権国家として自衛隊の位置付けを変え、愛国心教育を進めていこうとする自民党の憲法改正草案と酷似してはいないか。

ロシアは憲法改正を経て反対勢力は根こそぎ逮捕されるか毒を盛られ、国民は自由にものを言えず、報道機関は政府のプロパガンダと化し、今回のウクライナへの侵略戦争が準備されたといえる。日本もロシアと同じ道を歩んではならない。冒頭の奥野議員がこのような趣旨の発言をしていれば彼の評価は変わっていたであろう。
至極残念である。