低投票率の罠

国政選挙で5割、地方選挙で4割、首長選挙で3割というのが最近の投票率の傾向である。要は半分以上の有権者にとって政治は関心の外になってしまっているのだ。何故か?

そもそも個人主義的傾向なのか、個人の生活に政治との距離感が感じられないのかも知れないし、政治を変えたいと思っても個人の力ではどうにもならないと思われているからか。また政治家にとっても個人を相手にしていても大方集票に結びつかないと決めつけてしまっているのも大きい。このように両者を結びつける根拠、背景、利害などがほとんでないから上記投票率の低下は必至なのであろう。

ただ全体的低下傾向の中にあって、確実に投票に行く岩盤層が存在するのも事実だ。個人にあっては周囲の人間関係でどうしても頼まれてしまうという人、労組や業界団体、会社などの利害に絡んでしまっているという人、宗教団体の信者で教団の指示で動くだけという人などの岩盤層がおそらく投票に行く人の過半数を占めている。

選挙中の街頭演説やポスター、公選はがきなどの選挙ツールの中身や行方を見れば誰のための政治なのか凡そ分かってしまう。訴えるのは少なくても一般有権者ではなく内々の関係者をターゲットにしているのが明白だし、媚びを売るような流行りのメッセージを並べたところで一般有権者の関心は高まらない。

低投票率の背景はこんなものであるから、是が非でも当選したい立候補者は益々団体組織に頼るという悪循環。宗教団体が各種議員の選挙に付け込む隙が目に見える形である。選挙のもつ罠ともいえよう。