戦争が終わらない訳

ロシア軍のウクライナ侵攻以来、配備された驚異的な兵器の数から判断すると、究極の勝者はおそらく世界の武器商人だろう。ウクライナ戦争を背景に、防衛関連株が上昇し続けているからだ。米国を中心とする西側諸国の兵器システムで武装したウクライナ軍は、これまでのところロシア軍の侵攻を食い止めている。しかし、ロシア軍は3月19日に初めて配備されたど極超音速ミサイルなどウクライナ軍と比較して最も高度な兵器で武装している。そもそも何故こんな戦争が始まり、未だに終わらないのか?

まずネオコン(Neoconservatism )の説明から始めよう。ネオコンとは、アメリカの「新しい保守主義」を指し、「国際政治へのアメリカの積極的介入」あるいは「アメリカの世界覇権」や「アメリカ的な思想を世界に広めること」などを信条としているため、従来の保守主義とは異なる。ネオコンは今では「軍需産業」(武器商人)と密接に結びつき、アメリカの民主党との結びつきが強い傾向にある。特に、ネオコンの代表格であるバイデン政権のヌーランド国務次官などは、2013年末にウクライナ政権クーデター=マイダン革命をバイデン(副大統領)とともに背後で動かした中心人物だ。バイデン政権にいるブリンケン国務長官もオースティン国防長官も生粋のネオコンだ。オースティンなどは、アメリカの巨大軍需企業のレイセオン・テクノロジーズの取締役をしていたのだから、戦争が起きていないと困るネオコンそのものである。

バイデンは先日、米政府高官の誰かをウクライナに派遣する可能性があると発言しているが、その候補として名前が挙がっているのがこのブリンケンとオースティンだ。いずれもネオコンの代表的人物で、ウクライナを訪問する目的はウクライナ戦争を何としても長引かせることにある。米政府高官がウクライナを訪問しなければならない理由は、戦争を長引かせるよう、決して停戦のための和平交渉を進めないよう、ウクライナを激励するためであろう。そんなことをすると、より多くの人が犠牲になるが、武器商人にとっては人の命より利益が大事だし、アメリカはその分だけ利益を得ることができるので、誰かを派遣してできるだけ長い期間戦争を続けるようにするだけである。